先日、九州のお客様から、
ライラックは入りますか?
できるだけ早くていつ入りますか?
とお問い合わせがあった。
ライラックという花、
今の時期、あるにはある、特に白は。
一週間前に注文すれば80%くらいの確率で入る、
けれど急ぎとなると市場のある月・水・金の中でも、
曜日によっては入荷がない、やや波のある花材で、
そのお問い合わせが月曜の午後ともなると、
水曜に入荷があるかはなんとも言えない。
ただ、その人はとても急いでいる様子で、
それも色は薄紫のもの、との限定もついた。
そうなるとよけいに入荷の確率は低くなる。。。
国産のライラックの流通がまだ安定していない時期の今、
輸入業者でできるだけ確実なルートをあたり、
一番近い水曜の入荷の有無を、分かり次第連絡をもらい、
それをそのお客様へ伝えることに。
結果、なんと珍しく水曜に入荷があった。
それも開けて水揚げしてビックリした。
輸入のライラックにはほとんど香りが残っていない場合が多く、
その花姿のみを楽しむことになるのだけれど、
その日のライラックにはしっかりと、気高い独特の香りがあったのです。
入荷したことも、香りがあったことも、
よほど、このお客様にはライラックとご縁があるのか、と。
バッチリと水揚げしてキラキラになった薄紫のライラックで、
アレンジメントを作り、その日の最終の便で九州まで発送した。
最短で、クオリティも良いものを提供できて、ホッと安心。。。
なぜ、その人は急いでいたか、、、。
あとからお礼のメールをいただいて理由が分かった。
ご注文主の方の、余命数週間と言われたおばあさま。
そのおばあさまは、昔、満州におられたとのこと、
戦争時代に満州で余程怖い思いをされたのか、
当時の事は殆どお話しにならないそうです。
ところが、先日ご容態が急変した時に、
それで、一日も早くライラックを、というお電話をいただいたのでした。
そのご注文主の方はメールに、
純粋に楽しかった少女時代を思い出してくれたら、と思います。
と書いておられました。
花の持つ力を、またひとつ知ることになった。
どうか一日も長くライラックを眺めて下さいます様に。