餅匠しづくさんで新年の餅花を飾るようになって
今年でちょうど10年になりました。
始まりは2011年、その年はSNSでの繋がりが活発になっていた頃でした。
3月には東日本大震災が起こり、4月には大阪の中之島を中心に人が集いました。
リーマンショック後の静かな景気後退に震災も加わり、
これからの活動の模索を続ける中で、
SNSによって数十人単位で知り合いが増え、比例して仕事も多忙になりました。
今回、餅花をまとめて書き残しておこうと画像を遡っていると、
目が回るほど多種多様な仕事の記録に驚きながら、
よく無事にこなしてきたと思います。
さて餅花、第一回目は2011年の年末、2012年のお正月用に、
重量のある餅花をうまく設置できるか、予想できる限りの対策が取れるよう道具を揃え、とても緊張しながら伺ったのを覚えています。

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2012年の年末、2013年のお正月用には、広さや背景の質感にも映えるよう、大きめの餅花をつけました。ずっしりとした重量感、華やかでコロコロとした印象になりました。柳は花宇さんで黒目柳を。

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2013年の年末、2014年のお正月用には、京都の花市さんで餅花用として柳を調達し、高さと迫力のある枝ぶりに大きな餅花を咲かせました。当然ではありますが、素材としての柳の個性に作品が決定づけられることを実感した年。

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2014年から2015年に向けては、
以前、奈良の白毫寺で見た『五色の椿』を思い浮かべながら、
五色に咲く餅花を作りました。紅、白、薄赤、桃、絞りの五色。

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2015年から2016年に向けては、飛騨高山で心を打たれた枝物に咲いた餅花を再現しました。目利きに早くから素材をお願いし、獅子頭というモミジを準備していただきました。amicaHPのトップページにも使用しています。
2016年の餅花
2016年の餅花
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2016年から2017年に向けては、
大きな柳に、枝ごとに咲く色の違う、源平咲きで仕上げました。

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2017年から2018年に向けては、趣を変えて、雲龍梅に赤い花を小さく咲かせました。

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2018年から2019年に向けては、京都のとある美術館の展示品から構想。和菓子には欠かせない素材でもある黒文字を、初めて餅花を仕立てました。清々しい香りが印象的です。

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2019年から2020年に向けては、子々孫々までの繁栄を願って飾られる掛け蓬莱と、餅花を合わせた作品に仕上げました。代々つづく餅匠しづくさんにも相応しい飾りだと思います。

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2020年から2021年にかけては、白餅と青竹と柳で、お餅を双円錐の形で仕上げました。
床に浮かぶ丸い影と、壁に映る菱形の影
11月初めにデザイン画を描き、信頼できる仕入先に青竹と柳を準備していただきました。色合いは少ない中で、これまででもっとも大きく、豪華で、そして手間のかかった作品になりました。餅匠しづくさんのお餅はとてもコシがあるので、ひとつひとつ、指先で繰り返し成形し、双円錐に仕上げました。
2021年の幕開けに飾られた真っ白な餅花、コロナ禍の邪気を祓う、静かで強い表現ができたと思います。
10年分の長い記事をご覧いただきありがとうございました。これからもライフワークとして餅花づくりに取り組んでいきたいと思います。