仕事で様々な花たちに関わっていると、
普段慣れ親しんでいると思っている花にも、
まだまだ知らない魅力があることに気付かされます。
この、日本水仙もそのひとつ。
以前はこの小さな、少し地味なスイセンに、
それほど意識が向かいませんでした。
生けばなをしていた祖母は、
福井県出身ということもあってか、
この日本水仙がとても好きだったと、
行きつけのお花屋さんで、亡くなったあとに教えられました。
水仙の、多様な品種のなかで、
この、ニホンズイセン、越前海岸が名所のひとつ。
福井県の県の花でもあります。
真冬の日本海の風を受けながら、
静かに力強く群生する姿は、そのまま、
信心深く粘り強い、北陸のひとのように見えました。
興味を持ったきっかけは、
いけばなの世界でスイセンが大切に扱われてきたことを知ってから。
お正月の素材のひとつとして、
厳しい寒さの中で咲く花は、
いまの温室のランや菊と違って、
昔はとても貴重な存在。
じつは水仙、
葉の枚数や茎の長さで細かく「等級」がわかれていて、
それに比例して価格にも差があるのです。
流派によって違いますが、
その葉を大切に使って、
美しい姿に仕立てて、
(葉の長さやカーブをつけて)
そして改めて、自然の風景として、活ける
そういえば祖母に、
思えば、このことだけ直伝してもらったことに
今気づいたけれど。
水仙の葉のしごくと、
優しいラインに生まれ変わり、
表情がぐっと豊かになることを。。。
2013年の始まりに、
お年賀のアレンジを贈りました。
12月は慌ただしくて、きちんと御礼を伝えられなかった方へ。
早めに仕入れ、
開花調整をして少し咲かせて。
制作には、
上で書いたような、いけばなの作法を取り入れ、
葉と茎を組み直し、花を仕立て、
全体のデザインはモダンに。
ああ、それにしても、
薫り高い水仙のなかでも、
この日本水仙は格別の香り。
松尾芭蕉の、ステキな歌を添えておきます。
其のにほひ 桃より白し 水仙花
新年に清々しく、
優しさを確かめるような香り。
水仙をお年賀に贈る習慣、
もっと広がるといいなと思います。
来年はもう少しきちんと提案していきますね。
さて、レッスンの始まりは、例年通り、
そんな魅力ある水仙をたっっっぷり使った講座。
水仙のシーズンはまさに今です。
日程と場所は以下の通り。
お申込みはHPのメールボタンから。
21日 本町教室 18時〜
22日 芦屋教室 10時30分〜、14時〜
26日 芦屋教室 10時〜、14時〜
amica flowers