(前回の続き)
Rさんの大好物「モスチーズバーガー」を買って帰ると、
そこには既にドゥジエムの山村さんの姿があった。
広島のドゥジエムさん、、、今の花業界で全国規模でみても屈指の、
志とクオリティの高さで一目置かれているお花屋さんである。
昨年は広島で大きなイヴェントを開催し、全国から多くの人を集めて注目された。
その企画力や実行力でも高く評価されたのが山村さんなのであります。
そんな方が今回のウェディング装花に参加なさると聞いたときには、
本当に感激したし、そして同じくらい緊張したのでした。
で、11時ころに芦屋に到着した山村さん、
どうやって新幹線に乗って来られたんだろうと思うくらいのお花を持って来られたのです。
身長ほどのサンゴ水木の束を始め、驚くほど美しいバラの数々、美しい芍薬、葉モノ、、、
ブログで何度か見せていただいてたものの、ドゥジエムさんのとこの花はアツい。。。
軽めに昼食を取ったあと、
最終の打ち合わせや花嫁のそばに付き添うためにRさんは、
さささ~っと30秒くらいでこの日の装花を山村さんに伝えて会場に向かう。
さてと、何から、とほんの一瞬の間があるかなしかで、初めてのこの場所で、
山村さんはすぐに、いや、本当にすぐに、まるで一週間前からこのことに関わっていたかのように、
全体の割り振りもしつつ、何の違和感もなくサクサクと作業に取り掛かる。
ふと、自分がエヴィアンに行ったときのことを思い出す。
必要な道具があれば、そしてそこに必要な花材があれば、
フローリストというのはどこででもシゴトできるんだな、と。
♪包丁いいっぽ~ん♪晒しに巻いて~♪(古)そんな気分になった。。。
いやそれにしてもドゥジエムさんの作業の早さったら・・・!
あまり色々と世間話をする雰囲気でもない中で、ポツリと山村さんが言った一言。
「これはある意味アウェイだから、終わったら疲れるかも」
そうなんだ、自分で仕入れして場所がホームグラウンドでも、
デモンストレーションや講義などでデザイナー(作り手)を迎える場合、
内容的には「ある意味アウェイ」になる。
これは経験した人だからこそ言える、温かいいたわりの言葉だと、私は後日気がついた。
作業途中で迷って困ったり、気がヘンに焦っているときも、
山村さんは常に緊張を和らげるように、気を楽にできるような言葉を口にする。
その度に私は自分に余裕を少し取り戻し、ずいぶん助けられた。
あっという間に制作物が完了し、いよいよ、アトリエから搬出、会場へ搬入、セッティングへ。
私はもちろん、この会場には慣れている、スタッフも。
けど、ドゥジエムさんは初めての場所、完全アウェイである。はず。
なのにここでも、まるで前から知ってるようにスイスイと動き、サクサクとセッティング。
これはこの仕事を経験したことのある人、いや、
多くの職場での人との空気感では誰もが経験することかもしれないけれど、
作業のリズムの素晴らしい人が一人いると、周りの動きまでスムーズになる。その逆もあり。
山村さんの動きは、独特のドゥジエムビートとでも言うべき心地よいリズムで刻まれており、
すべてのことが滞りなくスイスイと運ばれていく。
私たちもそのリズムに合わせて、とても安心して気持ちにゆとりを持って、
そして何より、すっごく楽しみながら動けたのでした。
チャペルの祭壇はRさんのリクエストで「外側Lシェイプ」に。
チェアフラワーは「空気感」が大切にされたミニブーケ。