(前号の続き)
その夜、帰ってすぐに、パソコンから連絡つく人に、ケイタイが通じないことを知らせる。
日曜の午前に合流する広島のお花屋さんのdeuxi(ドゥジエム)さん、
そのドゥジエムさんにはRさんへ、その事情を伝えてもらえるように、
一緒に披露宴に呼ばれているMゆかさん、
そしてスタッフたち。
市場のお兄さんの一人が、自身の名刺にケイタイ番号も手書きしていたのを思い出す。
早速電話。日曜の市場が10時ころに開くことを知る。
土曜の夜なのに、みんな電話出てくれてありがたい。。。
その晩、なんとなく落ち着かない気分で、明日の大仕事に備えて、
お風呂、ストレッチも抜かりなく。
普段、アラームに使っているケイタイがないので、目覚まし時計を引っ張り出す。
寝ようとしてふと、代わりの花たちが整ったところで思う。
その、80本の花。
私は15年、花嫁の味方でもあったけれど、一方、花の味方でもあったと。
できれば、日の目を浴びさせてあげたい、胸を張って咲かせてあげたい。。。
その晩は眠っているのか起きているのか、
夢うつつの中で何度も何度も花嫁さんを説得していた。
「嫌いな食べ物でも一流シェフが調理したら美味しく食べられますよね」とか、
「あの会場に似合う花、といえば、この花だと言われてるんですよ」とか、
「今まで良い思い出のないお花なら、今日でその記憶を塗り替えましょう」とか、、、
自分でも驚くほど、色々と言葉があふれ出てきた。
また、その合間には、
久々に引っ張り出してきた目覚まし時計が信用できなかったのか、
何度も目が覚めては、そのたびになぜか電話で時報「117」を聞いていた。(なぜ?)
そんな感じであっという間に朝になり、
いよいよすべての準備がスタートする。。。
Rさんが爽やかな笑顔とともに来られる。
制作に入るとナーバスになる人は多いけれど、
Rさんはサービス精神が旺盛なのか、とにっかくいろいろとお話して下さる。
これまでの経歴、パリでのこと、交友関係、奥様のこと、これからヴィジョン、音楽のこと、
そしてもちろん、花業界の現状や続けていくのに大切なことなどなど、
作業はノンストップでスピーディに進む中、興味深いお話を次々に笑いも交えつつ。
それはそれは至福のひとときで、お花に関わってきて良かった、と思える時間。
その中で、この結婚式が奥さまの夢を叶えるものであることが静かに伝わってきて、
夜中に夢の中で説得していた私も、とにかくまた200%花嫁の味方として、
今日はお手伝いさせていただこう、と固く決心する。
そんな素敵な時間ではあったけれど、
忘れてはいけない、私には重大任務があった、そう、ケイタイを取りに行かなければ。
後ろ髪を引かれる思いで、泣く泣く車を走らせる。
なんと、あとで聞いたら、
私がいない時間、スタッフたちはRさん直々に「メカニカル・フォーカルポイント」について、
講義を受けていたらしい!!!
その頃私は、無事手元に戻ったケイタイで、西宮のモスバーガーを検索していたのでした。
めでたしめでたし。